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界面活性剤とは?構造や作用は?表面張力を低下させる働きとは?

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界面活性剤は、食べ物やシャンプー、リンス、洗剤などに使われ、私達にとってとても身近な存在です。

その界面活性剤の働きとは、界面(異なった性質を持つ2つの物質の間に存在する境界面)に作用し、その相容れない者同士を結びつけ、親和性を生み出すものです。

この界面活性剤にあまり良い印象をお持ちでない方が多いと思いますが、一方的に悪!と決めつける前に、界面活性剤とはどのようなものかを知りましょう。

この記事では、界面活性剤についての基本的なことをまとめていきます。

界面活性剤の構造と作用・働き

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界面活性剤とは?

界面活性剤は、しばしば先端が丸い、棒状のものに例えられます。

マッチ棒で例えるなら、頭薬部が水に馴染みやすい親水基、棒の部分が油に馴染みやすい親油基というような形をしています。

それでは、界面活性剤の作用・働きを、よくある水と油を例に、説明していきます。

まず、なぜ油は水に溶けないのでしょうか。

それは、水と似た性質を油が持たないからです。

これを理解するには水の性質を知る必要があります。

水の性質

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水分子を構成するのは酸素原子と水素原子です。

その酸素原子は電子を引きつける力が強く(電気陰性度大)、水素はその力がとても弱い(電気陰性度小)ため、酸素側に電子が引きつけられることになり、分子内で電荷の偏りが起こります。

これを極性と言い、その性質を持つ分子を極性分子と言います。

特に、水素と窒素、酸素、フッ素の電気陰性度の高い3原子との結合は特に大きな極性を生むため、その弱い正電荷を帯びた水素原子を介しての分子同士の静電気力による結合は水素結合と呼ばれています。

そして、水分子の場合、酸素原子のもつ6つの価電子のうち、2つの電子が水素原子との共有結合に関与し、残りの4つが2組の孤立電子対となり、隣接する水分子と正四面体方向に最大で4つの水素結合を作ることができます。

この静電気的な引力により、水分子は群れ(クラスター構造)をなし、特異的な流動性に富む、なめらかな形状をしているのです。

そして、水に溶けるとは、この静電気的な引力と他の物質が結びつくことを言います。

単純に、分子内に極性を持つものや電離しやすいものは、基本的に水に溶けやすいということですね。

界面活性剤と表面張力

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次に、ひたひたに水を入れたコップがあるとします。

縁と縁の間で弧を描いているような状態ですね。

コップ内深部の水分子(バルク)は、三次元、あらゆる方向から静電気力を受けているため、安定した状態ですが、水の表面、空気との界面では、水内部からのみ力が働いているため、空気側では静電気的結合手が余っている状態で反応性が高く、不安定でエネルギーの高い状態になります。

この状態を界面自由エネルギーが高い状態と表現します。

静電気的結合手が余っている状態が最も少ない状態が最も安定した状態ですので、水分子は密に詰まることでなるべく表面積を小さくしようとするために、溢れずに縁と縁の間で弧を描くような形になるのです。

そして、その異なる界面の自由エネルギーを安定化させる働きがあるのが界面活性剤です。

例えば、このようなひたひたの水の入ったコップに界面活性剤である洗剤などを入れると、例に上げたマッチ棒の頭薬部である親水基を水側に、棒の部分の親油基を空気側に向けて界面に並びます。

すると、静電気的結合手が余っている状態が解消されていきますので、界面自由エネルギーが低下します。

すると、表面積を最小にしようとする働きも解消されていきますので、表面積が増大し、コップから水が溢れます。

水の性質をある程度理解したところで、本題である、水と油について話を戻しましょう。

水の油に対する界面活性作用

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油は、分子内に極性を持たないか、とても小さい(カルボキシル基などは極性を持つが鎖式炭化水素基の長さに対し全体としての影響はわずか)ので、水分子同士の静電気力の影響に介在できないため、そこから弾き出され、油は個別に分子群を形成します。

これが水と油の分離状態です。

そして、この界面では、両者とも内部に比べ自由エネルギーの高い状態です。

ここに界面活性剤を入れると、親水基と水分子との静電気的な相互作用、疎水基と油分子とのファンデルワールス相互作用の働きにより、界面自由エネルギーが低下し、使われる界面活性剤の種類によって、油の中に水が溶ける油中水滴型か、水の中に油が溶ける水中油滴型となって、いずれかの溶媒中に溶け込むということになります。

このようにして、界面活性剤は相容れない異なる種類のものを結びつけることができるようにするものです。

界面活性剤の主な作用・働き

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界面活性剤の代表的な作用について、見ていきましょう。

湿潤・浸透作用

服についた汚れを除去する際には、何よりもまずそれが水と触れ合う必要があります。

水が個体と接触する際に、お互いが反応性に乏しい場合、その個体表面上に吸着する様子というのは両者の界面自由エネルギーに依存します。

例えば、水よりも界面自由エネルギーが相対的に高い物体表面においては、水がその表面を多く濡らす方が全体的なエネルギーは小さくなるので、水は広い範囲に広がるように濡れます。

しかし、水よりも界面自由エネルギーが相対的に低い物体表面においては、水がその表面をできる限り濡らさない方が全体的なエネルギーは小さくなるので、水はできる限り表面積を小さくし、丸まろうとします。

そして、服の繊維は様々ですが、基本的に水に馴染みの悪いものが多い、すなわち、水に対して界面自由エネルギーが相対的に小さいので、繊維への水の吸着度合いは低めなのです。

しかし、ここに界面活性剤を入れると、水の自由エネルギーが低下しますから、表面に吸着し、馴染みやすくなります。

これにより水も界面活性剤も、汚れに干渉することができるようになり、汚れ落ちにつながるのです。

また、水の自由エネルギーとの差を相対的により大きくすることで、撥水効果をもたらすことなどにも利用されています。

水の個体表面上での濡れやすさの様子というのは、普段ではわかりづらい個体の表面張力が顕在化するので、面白いですね。

分散作用

ススを水に入れても溶けず、表面に浮かんでしまいますが、界面活性剤を入れると、ススの粒子を疎水基が取り囲んで、水中に分散し、溶かし込むことができます。

この固体の物質を溶媒中に散らばらせる作用のことを分散と言います。

乳化作用

水に油を溶かし込む際、界面活性剤は、油分を疎水基が取り囲み、親水基で包まれた会合体が水中に分散します。

この親水基を外側に向け、内側に疎水性の物質を取り囲んだ状態をミセルといいます。

そして、このミセル会合体が水中に分散することを乳化、2種の液体の内の一方が他の液体中に微粒子状で分散しているものをエマルションといいます。

牛乳は、水中に油分が溶け込んだ、水中油滴型エマルションです。

逆に、油中に水が分散するバターは、油中水滴型エマルションです。

起泡・消泡作用

泡とは、空気の周りを液体の薄膜が包んだ状態ですが、通常であればすぐに潰れ、水は安定化しますが、水表面の自由エネルギーを低下させることで泡が潰れにくくなります。

逆に、上の薄膜を部分的に不均衡な状態を作り出し、泡を不安定化させることで、泡を潰しやすくすることもできます。

洗浄作用

洋服についた油汚れに洗剤をつけると、洋服表面に付着した油分に疎水基が結びついて、それを包み込みます。

もちろん、水を吸着させる働きもします。(湿潤・浸透作用)

この状態は、疎水基で油を包み込み、親水基を外に向けた形になります。

そして、このミセル会合体はある種の親水性を帯びることになるので、水で洗い流すことができ、これが油汚れを除去するといういことです。

まとめ

というわけで、界面活性剤の基本的なことついてまとめました。

界面活性剤は、いわば私達の生活を豊かにしてくれる影の存在です。

影であるために、表面的な、マイナスの意見ばかりが先走ってしまいますが、その働きについて少し考えるだけでも、その有用性は計り知れません。

もちろん、悪影響をもたらしている部分もあるでしょう。

界面活性剤=悪という以前に、私達はその存在がどのようなものなのかを詳しく知る必要があるでしょう。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

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